半田晴久 産経新聞連載 第51回「直前アドバイス④」
周囲の雑音には耳を貸さない
例年、入試を目前にして、「A大学はB出版社の問題集をやっておくと有利だ」「C大学の今年の出題はこれだ」。そんなアングラ情報が受験生の間に飛び交います。さも真実味が有りそうに聞こえる受験情報ですが、この種の雑音は無視するのが一番。なまじ情報を信じ、新しい問題集に取り組めば、焦りから勉強のペースが乱れるだけです。
「こんな問題は初めて」「難しすぎてとても解けない。もうダメだあ!」などということになれば、これまでの受験勉強は水の泡、目も当てられません。
受験日直前の勉強法は、これまで取り組んできた参考書とか問題集を数冊に絞って、確認の意味で、最初からじっくり復習することです。そうすると、忘れていた個所があれば再確認できるはずです。そして、何よりも全体を見通して解答する勘が鋭くなるのです。その確認作業と解答力の勘を研ぎ澄ます作業が、入試直前では一番大事なのです。
いずれにしても、入試が間近に迫ったら、友人などの余計な雑音には耳を貸さないこと。これが基本です。
その例外は、予備校の先生からの受験情報。その情報だけは、事情が違ってきます。
言うまでもなく、予備校の先生は受験指導でメシを食っているのです。大方の先生はいかに受験生を合格させるか、日夜頭を悩ませ、必死に努力しています。受験情報に関しても、あらゆる手段を尽くして収集しています。もちろん、分析力もありますから、ただ単に受験情報をうのみにすることもありません。長年の経験と知識から、「○○大学の入試問題に、今年はこういうのが出そうだ」と予測できるわけです。ですから、予備校の先生からの情報はかなり出題確率の高い情報だと考えていいでしょう。
その場合、予備校の先生のアドバイスに従って問題に取り組んだとき、もし理解できないようだったら、躊躇することなく質問しなければなりません。分からない問題を分からないままにしては、心の動揺が広がるだけ。アドバイスに耳を貸したことが、かえってアダになってしまいます。
その意味でも、予備校の先生とは、平素から親しくしていることです。予備校選択の際にも、気軽に質問できるシステムを導入しているか、を目安にするべきでしょう。
みすず学苑 半田晴久
2004年2月19日 産経新聞