半田晴久/深見東州 産経連載第47回「入試直前の対策」

ここが踏ん張りどころ、迷いは捨てて

 センター試験も終わって、多くの大学受験生は二次試験を残すのみ。追い込みに余念がない時期だが、センター試験の結果に頭を抱え、肝心の勉強が手に着かないほど、本番を前にペースを大きく狂わす受験生が少なくありません。

 

 「大丈夫だろうか。失敗しなだろうか」と不安になる気持ちは、毎日受験生と接しているので良く分かります。だが、ここが踏ん張りどころなのです。迷いは捨て、ひたすら受験日まで勉強に取り組まないと、これまでの苦労が水の泡に帰してしまいます。

 

 センター試験が芳しくなかった人は、こう考えてほしい。「心配はしても、心痛しない方がいいのだ」と。

 

 「合格するだろうか、駄目だろうか」と心を痛めているだけでは、ただの心痛。これに対し、心配は心を配ること。通るか通らないかは受験しての結果、通る確率を高めるように、問題集を少しでも多くやろうと、受験日までの時間配分や重点科目の絞り込みなどに心を配る。この時期の受験勉強は、不安ながらも勉強の手を休めずに、多くの問題集をこなすことに徹するのが肝要です。

 

 三十年ほど受験指導にかかわってきました私の実感からも、受験勉強で一番大切なのは、受験直前の二カ月。この間の勉強次第で、偏差値を20近く伸ばした受験生をたくさん見てきました。十二月の試験で、偏差値が50前後だったのに、合格最低ラインが偏差値70といわれる学校に合格する人がいるのです。信じ難いと首を振られる人もいるでしょうが、”奇跡”を起こすことも十二分に可能なのです。

 

 一般に学力は、直線的に伸びていくものと考えられていますが、実際には、十二月を境に放物線状にアップします。特に現役生には、この傾向が強く、その結果、偏差値が10も20も高い学校に合格する人がかなりの数でおります。

 

 その理由は、現役生の場合、社会や生物などの暗記物が完成し、総合得点が急に上がること。それに、本番を目前に「死に物狂い頑張らねば」という思いが緊張感と集中力を高めることで相乗効果を発揮し、得点アップに結び付いている。私はそう分析しています。

 

 実例からも「センター試験結果に一喜一憂せずに緊張感を持って受験日まで突っ走る」。

 

 これが究極のアドバイスです。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2004年1月22日  産経新聞