半田晴久/深見東州 産経連載 第45回「基礎学力は国語」
重要なのは文章を読む力と理解力
受験を前提にすれば、英語は最重要科目。英語力を伸ばすうえで土台になるのが国語力です。国語力が弱いと英語力も伸びません。特に英文解釈では、英文法を読む力の根幹として、国語力は不可欠です。それ故に入試では、含蓄深い文章を読解させるのです。
国語力が重要なのは、英語に限った話ではありません。数学を解く能力も国語力にかかっているのです。計算問題はともかく、文章題は、読解力が弱いと、何を問われているのかすら理解できず、答えを導き出すことはできません。
大学受験の数学では、解決プロセスの中で使われる論理的な思考や形容詞、副詞の適切な言葉の使い方が要求されます。数字を操るだけの科目に思いがちですが、解答を導き出すプロセスでは、表現力も重要な得点判断になっています。理科や社会にしても、やはり土台(基礎学力)は国語力です。入試では、配点の高い難しい出題は文章題なのが常識です。総合的な思考力を試しているのですから…。
長く教育に携わってきた経験からも、国語力のある子は総じて全体の成績が良く、読書好きな子で成績が芳しくないという子はあまりいません。幼児期から、活字になじみ、知らず知らずのうちに読解力を身につけてきた子は、一般的に入学後も成績が良いようです。つまり、勉強ができる、できないはひとえに文章を読む力と、理解力にかかっていると言っても過言ではありません。
こういう話を受験生にもするのですが、なかには「じゃあ、いまから国語に力を入れよう」と、勉強を始める受験生がいます。その意気やよし、と褒めたいが、残念ながら、付け焼き刃的な勉強法では国語力アップなど望めません。その理由は、何時間勉強すれば何点上がる科目ではなく、読書量や現代国語読解の理論、解法の定石の積み重ねが必要だからです。
入試を目前の勉強法と限定するならば、国語については、確実な得点源になり難い現代国語よりは、むしろ、漢文や古文にウエートを置いた勉強をした方が得策です。漢文は基礎を、古文は助動詞をしっかり勉強した方が、即効力もあり得点に結びつきます。
いずれも受験直前を前提にした話なので、誤解しないでいただきたい。言うまでもなく、原則は「国語力の養成は小さいうちから」です。
みすず学苑 半田晴久
2004年1月8日 産経新聞