半田晴久/深見東州 産経連載第43回「英語の重要性」
文法が難しくなる中1後期が分岐点
入試における英語は、大学、高校を問わず配点比率が高く、文系でも理系でも受験の必修科目になっています。受験における英語は得点差が付きやすい科目の一つで、得意か不得意かは重要な問題です。少々おおげさに言えば、人生の方向性を決めかねません。
受験生でなくとも、子供の将来を考え、英語嫌いにならないように指導することが親の責務といえます。
英語は算数と同じで、中学一年生の後期を境に、好き嫌いがはっきり分かれます。そこを見逃さないように注意することが肝心です。
分岐点になる一番のポイントは、文法を習い始める中学一年の終わりごろ。非常に文法が難しくなるので、覚えたての単語を口にして喜々としていた子供たちも戸惑います。
例えば、INGをつければよい現在進行形は分かりやすい。でも、現在完了形には、現在が完了するって何だ? さらに過去完了形。もっと不思議なのは、過去進行形です。過去が進行しているってどういうこと? タイムマシンに乗っているときの話か? 「もし何とかだったら何とかだった」という仮定法過去に至っては、中学生の頭では言葉の意味さえ理解できず、ほうり出したくなります。
無邪気にドッグ、キャットと言っていた子があまり英語を口にしなくなるのは、たいていこのころです。授業で理解できなかったことを家で復習し、身につければよいのですが、質問をされた親が「わからない」からと、逃げてしまがちです。
英語学習は、ここを乗り越えればあとは楽なのですが、英語嫌いの多くは、この時点でくじけてしまいます。無理もありません。過去完了や過去進行形とか仮定法過去なんて、頭で考えたって理解できないものなのですから…。
もし、両親が英語を教えられないのでしたら、授業に英語が加わる中1の早い段階で英語塾に通わせるとか、家庭教師をつけるなどし、英語を学ぶ楽しさを身につけさせることを勧めます。
この際、注意が必要なのは、帰国子女の先生は、往々英文法が弱い場合が多いので、学校英文法、欲をいえば入試英文法に強い先生を選ぶ方がより適切だと言えましょう。
受験対策は、基礎をしっかり学ぶことに尽きます。
みすず学苑 半田晴久
2003年12月18日 産経新聞