半田晴久/深見東州 産経連載第42回「入試の心構え⑤」
出題内容の7割は基礎学力を問う
きちんと基礎を勉強するよりも、応用問題や難解な問題にチャレンジすることに夢中になる受験生が少なくありません。焦る気持ちがそうさせるのでしょうが、これはあまり感心できません。前にも言いましたが、受験においても、基礎を反復学習することが合格への一番の近道なのです。
大学入試と言っても、極端に難しい問題ばかりが出題されるわけではありません。出題内容を長年のデータで分析すると、七割方は基礎学力を問う問題。三割がちょっとひねったり、かなり難しい問題の構成が一般的です。問題作成側も、全員が全問解答できると考えた出題をしているわけではありません。従って、基礎学力さえきちんと身に付けておけば、ほとんどの大学は合格できるものなのです。
以前に書いた繰り返しになりますが、最難関校で知られる東大の数学にしても「6問中3問解答できれば合格点」というのが定説です。半分はほとんどの受験生に解けないような難問である代わりに、必ず基礎学力があれば解ける問題が2問は含まれていると、考えられます。それを確実にこなし、ちょっとひねりが加わった問題を一問、悪くとも半分ぐらいまで解けたら、通るといわれています。数学にかぎらず、ほとんどの科目が同じようなものです。
このように、受験には基礎学力がきわめて重要なのですが、入試の実態を知らないと、前へ前へと気が焦る余り、基礎をおろそかに、応用問題ばかりに目を奪われてしまいがちになります。受験勉強も最終盤を迎えるこの時期、多くの受験生は「今更基礎をやっている段階ではない」とばかり、応用問題や難解な問題に取り組むわけです。それには、ある勘違いがあるのです。基礎がわかっているということと、基礎問題が完璧に解答できることを混同しているのです。
わかった気でいても、入試本番で正確な解答が書けなければ得点になりません。基礎学力を問う問題を落とす人は、平均的な合格最低点といわれる65%をクリアできず、不合格に。受験勉強の苦労は水の泡ということになってしまいます。
ここが入試の落とし穴で、「絶対大丈夫」と自他ともに認める生徒が失敗するのは、大体がこのケース。基礎問題で、意外につまずく受験生が多いのが実情です。
みすず学苑 半田晴久
2003年12月11日 産経新聞