半田晴久/深見東州 産経連載第38回「入試の心構え①」
基礎を反復することが到達点
「授業がわかりやすく、教科書は基礎すぎて、入試に間に合うのか心配です」。そんな不安を何人かの生徒から聞きました。きっと他にも同じような不安を抱いているのでは、と思います。そこで、入試を間近に控え、不安がいっぱいの受験生に向けたアドバイスを書きます。
最初に申し上げたいのは、「基礎こそ到達点。基礎を反復することが到達点である」ということです。
入試における応用問題は、基礎学力を、いろんな角度から問われるものです。実践問題にしても、基礎をいろいろにひねって、基礎の理解度を試されるものです。たとえひねった問題でも、ちゃんと制限時間内に解答できるかが勝負になるのが試験ですから。
基礎を理解していることと、完璧な解答ができるかは別問題です。
基礎的な問題が全部解答できれば、だいたい七割の点数が取れて、どの大学でも合格点です。数学を例にすると、東大クラスでも「六問中三問解けたら合格」と言われています。逆説的に説明すれば、出題のうち三問は、初めから解けない。
しかし、解けるような基礎的な問題が必ず一、二問は出されているわけです。それが確実に解けて、三問目のちょっとひねった問題がおおかた解けたら、合格の道も広がってくるのです。
最近では東大も数学が五問中二問解けたら合格といわれており、残る三問は、余程できる人が点数源にするために出題されているようなもの。五問中二問解答できたら、もう合格圏です。東大でそうならば、入試は各学科の基礎的な問題を制限時間内にきちっと答案できたら十分、といえます。
受験勉強は、落ちないように勉強したら絶対に通るんです。通るようにと思って、難しい問題ばかりに取り組んでも、基礎問題を落としては、合格ラインの65%の解答にはならない。試験問題は、基礎的な問題、ちょっとひねった応用、それに難しいのと、必ず三種類を混ぜ合わせて作るのが通例です。中には90数%解答の人もいますが、難関大学でも、合格最低点は約65%解答となっています。
出題する側も、全員が全問解答できるとは、想定していません。入試問題の基礎は「どれだけ基礎が身に付いているか、を問う」と心得ることが肝心です。
みすず学苑 半田晴久
2003年11月13日 産経新聞