『尖閣諸島沖での漁船衝突事件』に関する意見交換
日本国際フォーラム緊急提言委員会 2010年10月6日
半田 晴久の発言
今まで中国と日本との歴史で、こういうことがなかったとおっしゃいましたが、確かに戦後はなかったですけれども、今回のことをもってずっと思ったのは、やっぱり同じようなことを、日本民族は中国に対して経験しているのです。こういう、日本人の常識から考えて、ふんまんやる方ないような一方的なことを中国はやらかした。これを機に、日本のナショナリズムに火が付き、日清戦争を起こしたのです。あれは、単独でやって勝ったわけです。次に、第二次世界大戦。やっぱり、日本人にとって大きな衝撃だったのは、通州事件ですね。もう鼻を切られたり、陰部を切られたりの、二百数十人の残虐な目に遭わされた写真が、新聞に載ったのです。それで、日本民族は、もうほんとうに憤慨した。通州事件の残虐な中国人の仕打ちを知って、それが日本人のナショナリズムに火を付け、そこから日華事変のほうへ行く大きな引き金になった。むろん、日華事変へ進んだ原因は、他にもありますが……。あのときは、単独で日華事変のほうへ行ったので、結局失敗しました。やっぱり、国際世論の常識は、日清戦争や日露戦争の当時とは、大きく変化していたのです。そこをいち早く知って、もっと上手に国際世論を巻き込んでやればよかったのです。とにかく、通州のあの強烈な事件の引き金が、日本人が中国に対して戦争を起こす引き金になったので、今後も領土問題を初めとして、そうならない注意が必要です。中国の想像を絶する暴挙や、傍若無人なふる舞いは、彼らにとっては、罪悪感のない普通のことです。それを、国際社会の常識や良識から見ると、間違ってることを根気強く、粘り強く知らしめる必要があるのです。
思うに、中国には2つの弱点があります。1つは国際世論のつき上げと、米国の軍事力の示威や行使です。日本は、この2つを武器にして中国に接するべきです。これを単独でやると、核兵器を持つ強大な軍事力を持ってるので、日本は憲法の問題があり、どうしても弱腰にならざるを得ない。だから、日米同盟を基軸にして、国際世論を巻き込んで明快な共同声明を出すことが、一番有力ではないかと思います。 同じような目に遭ってるのが、南シナ海や東シナ海の周辺国です。今、田久保さんがおっしゃったように、南シナ海、東シナ海の国々も、全く我々と事情は似ています。しかし、我々には強固な日米同盟があるのです。今年6月の、日米同盟50周年のシンポの時、私は絶対中国はこうなると明言しました。これは、歴史と民族のDNAが物語っているからです。だから、新しい温和な形での、中国封じ込め政策が要る。だから、ニュー・チャイナ・コンテインメント・ポリシーを以て、国際世論の良識と米国の軍事プレゼンスによって、中国を封じ込めていかないと、必ず暴挙の爆発に行く方向の抑制が効きません。我々は、こういう方向に向かっていくのが、一番正しいのではないかと思います。特に、周辺国も同じように思っていますので、日米同盟を基軸として、日本が国際世論に訴える断固としたポリシーを出せば、同じようにアジアの国も従っていけるのです。どこかの国が、中国に対して、はっきりとした方向を打ち出すことが、アジアの周辺国が期待していることではないかと思います。周辺国を含む国際世論は、日清戦争、日露戦争、日華事変のときよりも、はるかに進化していますので、グローバル化にふさわしい対応の仕方をしていくのが、一番有効なやり方ではないかと思います。日清戦争、日華事変につぐ、第3回目とも言える、尖閣諸島に関する国民の憤り、これは、そういう手法を取って解決すべきでしょう。 今の内閣は、どうしていいかよくわからないので、やはり我々日本国際フォーラムが、明確にこうすべきだという世論の基調を出せば、中国の大使館も見ていますので、有効だと思います。中国は、やるだけやってみて、だめなら引こうかという非常に柔軟な姿勢です。現実、実利路線ですね。だから、はっきりとそういう形でメディアに何度も出し、政府も米国も共同宣言すれば、中国はすぐにポリシーを変えるはずです。だから、心ある者が、団結してそれを打ち出すことが、大事ではないかと思います。