半田晴久/深見東州 産経連載第40回「入試の心構え③」

ノートの取り方が成績を左右する

 受験教育に取り組んでおおよそ三十年。数えきれないほど受験生と接してきました。一生懸命勉強している割に成績がアップしない子。さほどガリ勉型に見えないのに、試験の成績がいつも良い子…。受験生といっても、実にさまざまです。

 

 長年、受験生を見てきて一つ、成績と密接に連動している事柄に気づきました。何かと言えば、ノートの取り方です。

 

 「そんなことか…」といわれそうですが、ノートの取り方は意外なほど成績を左右します。

 

 受験生にとって極めて重要なテクニックにもかかわらず、受験生、講師やスタッフに尋ねても百人が百人、「取り方なんか、教えてもらったことも教えたこともない」と答えます。

 

 それ故に、子供たちのノートの取り方もまちまち。私は、授業中のノートの取り方が、試験結果に反映されていることに気づきました。

 

 板書もきちっと書き写さず、漠然と先生の話を聞いているだけ。話が横道にそれたときだけ、興味を示す子は、成績も下位です。

 

 成績中位の子は、板書の写しに夢中のあまり、先生の話を聞くのがおろそかで、印象に残った単語だけを走り書きするタイプが多い。あとでノートを見返してみても、授業の流れや重要項目の論点や要点が記されておらず、どんな授業だったのか再現できない。結果、試験でも何か抜け落ちているなど、いつもケアレスミスをしています。

 

 では、優秀な子のノートの取り方は、といえば、先生の話は聞き漏らすことなく、板書を書き写すのは無論のこと、重要な論点を含む授業の内容を「何が何して何とやら」という形で、短い文章に書き留めています。単語ではなく、短文にして書き留めるところがポイントです。この方法ならキーワードだけを書き留めるのと違って、あとで読み返してみても、授業の流れや内容を容易に思い返すことができます。

 

 文章での記述と単語での記述。大した違いはないように思えますが、実態は、ノートの取り方一つで成績は大きく上下しているのです。素早く、読みやすい文章をサッと書ける人は、出題に素早く反応し、正確な記述ができて、答案の再点検もできています。

 

 日ごろのノートの取り方が受験にも重要な役割を果たす。受験生には、そのことを再認識してほしいのです。

 

 

みすず学苑 半田晴久

2003年11月27日  産経新聞