週刊ゴルフダイジェスト
盲人ゴルファーと女子世界殿堂プロたちの競演
ワールドシニアレディース選手権が日本で開催
世界殿堂入りの女子プロらを含む往年の名選手が日本に集結し、磨きぬかれた技を披露した。
全米女子プロゴルフ協会公認のシニア競技、ワールドシニアゴルフレディースオープン選手権が、4月9、10の両日、静岡の伊豆大仁GCで開催された。
豪華な顔ぶれがずらりと揃った。通算88勝のキャシー・ウィットワース、パット・ブラドリー、パティ・シーハンのホール・オブ・フェイマーが3人。これに豪州の元祖ビジュアル系ジャン・スティーブンソンや、南ア出身のサリー・リトル(南ア)などを加えた世界各国の16人が試合に参加。これに加え、かつて米ツアー挑戦経験もある森口祐子、ト阿玉の永久シード選手をはじめとする8選手が日本から加わり、総勢24選手で、2日間36ホールを競った。
主催したのは世界盲人ゴルフ協会(IBGA)、米国女子シニアゴルフ協会(WSGA)、NPO法人日本盲人ゴルフ振興協会(JBGA)。意外とも思えるこの組み合わせは、一体どうして実現したのか。
JBGA名誉会長で主催者代表の半田晴久氏に話を聞いた。
「どうして女子シニアか、と問われれば、誰もやらないからです。男子シニアは減ったとはいえ試合がある。でも女子シニアはアメリカではあるけれど、日本ではない。シニアプレーヤーはどんどん増えているのに、この人たちは一体どうするんだろう? と心配になっちゃった。アメリカの選手達は社会還元ということを考えているから、ブラインド(盲人)ゴルフという趣旨にすぐに賛同してくれて実現に至った。これでブラインドゴルフというものが少しづつでも広まれば」と、スポンサーのつかない女子シニアにとっては救世主が現れたようなものだ。
米国では今年も3試合、女子のシニアトーナメントが行われるが、やはり「スポンサーを探すのは難しい」(ジェーン・ブラロックWSGA会長)。そのスポンサーをWBGA、JBGAが引き受ける。逆にブラインドゴルフ関係者にとっては、有名選手達がプレーすることで注目を集め、ブラインドゴルフについて世間に知らしめることができる。同時に大会前日のプロアマでは、トップブラインドゴルファー達をプレーさせることで、やりがいを与えると言うメリットがある。
実は、日本でも昨年、協会主催で第1回盲導犬チャリティLPGAエバーグリーンゴルフカップが行われている。「詳細は未定だが、第2回大会も7月ごろに開催予定」(日本女子プロゴルフ協会=LPGA小林法子理事)と、シニアトーナメントと社会還元を関連付けることには積極的だ。
それでも今回に関しては、話が持ち上がったのが急だったこともあり、主催者ではなく特別協力の立場にとどまっている。来年以降については前向きで「共催できればすばらしい」というブラロック会長同様、前向きな姿勢を見せている。
「できる限り続けたい。やがては米国(の協会に所属する各国出身選手を含む)と日本から半分づつ選手を出したい。今年は出られないけど来年は来る、とナンシー・ロペスも言ってくれている」(半田会長)と、この大会がこれから根付いてくれそうな気配だ。
また、ブラインドゴルフに触れることができるプロアマ戦とは別の意味で興味深かったのは、13人の日本ツアー勢が3つのスポットを争った大会2日前の選考会。50歳でシニアとなる男子とは違い、女子は45歳でシニアの資格を得るため、谷福美、小田美岐、大城あかねなど「もうそんな年齢?」という選手も多い。そうかと思えば女子プロ1期生の岡田美智子や4期生の横山美智子ら大ベテランも参戦するなど、懐かしさととも共に女子シニアという新しい世界への入り口としても興味深い大会となった。